酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

2017-01-01から1年間の記事一覧

栗子さん プロローグその2(おまけ)

クリスマススペシャル、「栗子さん・プロローグ・その2」的なおまけ番外編。彼女が秋に本格的なモンブラン探求に至る予兆としての、プレ・モンブランな夏の思い出、マロン・ケーキ編である。 せっかくクリスマスなのでちょっと浪漫な恋愛小説風にしてみまし…

栗子さん・プロローグ

栗子(リツコ)さんは、栗が好きである。ケーキのチョイスはモンブラン。 が、体質のため、成人したころからケーキ類全般、食べられなくなってしまっていた。身体の組成も大分変化し、今はもう大丈夫なのではと言われているが、数十年も食べていなかったため…

ロスト・クリスマス(メモ)

もうクリスマスは私にはやってこないんだな。 どんなにツリーを飾ってみても、クリスマススタンダードやバッハのオラトリオなんか聴いてみても、しがみつくようにして古い映画なんかや観てみても。クリスマス・キャロルや素晴らしき哉人生やくるみ割り人形や…

妄想

荻窪の小さなワンルームで、するんと背の高いあのひととさまざまの考えを一生懸命語りあっていた時代のことを思いだした。 とても大切な思い出なのに普段はしまいこんで忘れているんだな。 …いや、そういうかけがえのない時間を重ねてきた、その上で現在が成…

物語(蛇男補遺)

だったら私は、自分に都合のいい物語を捏ね上げて、それを信じることにするよ。 夢の中で誰かに言い放った、と思ったら目が覚めた。壁の時計は二時を指していた。深夜二時。 部屋は変な具合に歪んで見えた。自分の目の中のレンズがどこかひずんでいるせいだ…

忘年会

プチ忘年会である。 まあ単に地元で旧い友人4人と飲んだだけなんだけど。久しぶりだったからね、とりあえずそう銘打って。 いや~、みんなの都合まとめて時間や店決めたリのあれこれやたらと面倒だし、寒いなとか頭痛いな調子悪いなとか、夜出かける前ってぐ…

本当に欲しいもの

「ほんたうにあなたのほしいものは一体何ですか」 「銀河鉄道の夜」でジョバンニが鳥捕りに聞きそびれた問いである。 幾度も幾度も、いつでも、この問いは私を問うた。 …キヨシロやアッコちゃんみたいにね、「欲しいものはたくさんある♬」が実はホントだった…

死ぬということが。(世界の始まり・ナルニア国物語)

早朝、半ば目覚め、半ば眠りの中に置かれているとき。まだ目を開くことはなく、意識は目覚めつつある、そのときのことだ。 さまざまな思考が際限なく湧き出でて意識野を駆け巡る、論理が構築されたかと思うと破壊され、それはまたよりうつくしいかたちに再構…

絶望と至福が。(いろいろ改訂版)

絶望と至福がこんな風に交互に極端にやってくるのではまいってしまう。家の中でイマココに取り込まれ組み込まれ、戻る場所も行き場所もなく逃げることすらできずこの先に希望はない、と絶望していたはずなのに、外に出てひとりになったとたん、懐かしい街の…

孤独というもの

結局ひとりなんだなあ自分。 孤独というのは勝ち得るものだ、と春樹の小説にあった。 さまざまな意味でこれは実にその通りだと思うんだけど。 勝ち得たものでない孤独というレヴェルのものもやはりあって、それはもう襲いかかってくるものとしてあるものだか…

安房直子、金子みすゞ

金子みすゞの詩を読んでいて、その寂しい優しさになだめられた。この感じは、安房直子さんの効き目に少し似たところがある。 なんだろう。 ひやりとするような怖さも似ている。優しさは寂しさと同一であり、あきらめと受容と同一である。 だがこれは救済なの…

猫と中央線

犬は人に付き、猫は場所に付くという。とすれば、私は完全に猫派である。 大体犬は苦手でなんである。子供の頃野犬集団に追いかけられたトラウマのせいかもしれぬ。だが、家族親族、私以外は皆犬が好きらしい。犬派であるらしい。子供にはほぼ無関心な父でさ…

風の谷のナウシカ試論(ますむらひろし「アタゴオル」「ギルドマ」との対照から)

ナウシカ再読、了。(アニメじゃなくて原作ね。) 学生時代、読み始めたらとまらなくて一気読み、深夜に興奮して眠れなくなった記憶がある。 やっぱりおもしろい。神話だなこりゃ。 やっぱりね、ナウシカ原作…なんかなあ、なんかないのかなあ。この面白さを…

ナウシカこれから書く編集宣言

ナウシカ再読、了。神話だなこりゃ。野生の思考。 寝る。明日は曇り。(来なくてもよい。) 付記(11月11日丑三つ時) ますむらひろしのギルドマも読み返したから漫画繋がりで書こうと思う。 寝る。 明日はきっと午後には晴れる。だからモンブランでも買いに…

栗名月

本当に栗みたいなかたちの名月だ。 土曜日までひとり。 なんて幸せなんだろう。永遠に今夜であればいい。もうほかになんにもいらない。

薔薇

帰宅したら、薔薇の花束が届いていた。 誰だろう。誕生日に花束を贈られたのなんて、何年ぶりだろうか。 誰だろう。薔薇ならば、深紅で、開きかけの蕾が一番好きだと口にしたことがあるのは学生時代の話だ。誰がそのことをおぼえていたんだろう。 誰でもいい…

川越

誕生日メッセージくださった皆さま、ほんにありがとうございます。 生まれて育ってさまざまあって、こんなに生きながらえてきたことを不思議に思います。実にありがたいことです。人生投げずにしっかり強く生きなくてはいけないなあと思います。一応真面目に…

26日

大晦日や誕生日前日、カウントダウンな時間帯になってくるといつも何だか落ち着かない。なにかやり残したことはないか、やっておくべきことはないか。絶対にあるような気がする、やっておきたかったことが。思い出せないことが。 …今年は金曜日。当日は姉が…

コロッケ

台風、嵐のように過ぎ去っていきましたね。いや実際嵐なんですが。 台風一過の青空が私は本当に大好きだ。何もかもぶっ飛ばされた後の非日常的にまばゆい、何もかも永遠に新しく神々しい光。神の国に近い世界からくるものの、光という形態、という、そのよう…

流れ星

流れ星見た。 久しぶりの晴れ間だ、とベランダに出てみたら、いきなりふわっと流れたのだ。流れ星を見るといつも一瞬なんだかよくわからなくなって、どきどきする。美しい虹に出会ったときもそうだけど。とても貴重でとても特別なときに出会ったのではないか…

東京駅。成田空港

ターミナル駅が好きだ。…いや、東京駅が好きだ。 中央線で武蔵野から東京駅へと向かう。車窓にお濠を見る頃になると、毎回私は新鮮にわくわくしてくる。神田を越えると、いつも遠く小さく見える風景が突如視界の中でぐうんと巨大化し、聳えるビルとなって現…

携帯電話と蛇男

携帯電話の液晶画面に映りこんだ青空と雲がいやにリアルだった。僕は上を見上げ青空を確認した。(携帯電話はいわゆるスマート・フォンである。触れるとなめらかに変化したり拡大縮小したりする美しい液晶画面を見るごとに、魔法をかけられたガラス窓だと僕…

マモー。いろいろ思いつき脳内メモ。

子供の頃から刷り込まれてきた、何しろ大好きだったルパン三世。 劇場版第一作「ルパンVS複製人間」、ラストの巨大なマモーの脳のイメージは殆どトラウマになるほどの衝撃であった。 こないだ再放送してたから録画しといて観ちゃったんだけど、やっぱり感服…

携帯音楽プレーヤー

音楽は好きだけど、電車に乗ってるときやお散歩してるときは街の中のさまざまの微細な物音に包まれているのが好きだった。風の音車の音人の話し声鳥の声その遠近による音響の立体。そして心の中にはナチュラルな脳内再生ミュージック、脳内くちずさみソング…

「真鶴」川上弘美(改訂版)

「夜の九時ごろって、人は何を考えるのかしら。聞いた。さあ。夜の三時や、あけがたの四時に感じることなら、知っているけれど。青茲の答えに、顔をあげた。三時や四時? 三時は、少しの希望。四時は、少しの絶望。きれいな言いかたね。ばかにしたでしょう、…

BEATITUDE

ひよこを殺したことがある。まだ人を殺したことはない。 ひよこは、夏祭りの屋台で、渋る母にねだってねだってやっと買ってもらった大切なたからものだった。 確か、小学校に上がるか上がらないかという年頃だった。いつも学校帰りに校門の外でおじさんがた…

安吾先生

酒は奇跡だ。 …って、安吾先生が言ってたんだっけな。 おれが今できることは缶麦酒のプルタブをひいてべろべろになることだけだけど、確かに生まれてきてよかったと思っているよ。 幸福とはこういうもの。さいなら、はじめてのこいびと。 ぼんやりしていたら…

ヤナちゃん55歳ライヴ

ちょっと前の話ですが、行ってまいりました。吉祥寺曼陀羅Ⅱ。 嬉し恥ずかし告白タイム、胸の内に抱き続けた熱い思い、積年の恋心。この日を心待ちにしていたのだ、愛しのカレのお誕生日ワンマンライヴ。 ヤナちゃん55歳誕生日を記念して、昼の部、夜の部に分…

ミサイル

なんかだめだめだな。 朝起き上がる前に結構真面目に世界平和について考えてみたんだが、どんなに一生懸命考えてもやっぱりわからない。 わしゃもう自分のこともままならないからのう。 ミサイル飛んできた騒ぎで専門家みたいな人が大勢いろんなことたらふく…

「この世界の片隅に」こうの史代

原作には甚くヤラれていたのだ。うっかり油断して読み始めると痛い思いをする漫画である。「夕凪の街 桜の国」とセットで原作への感想はここでちょっと書いた。 これがクラウドファンディングで映画になったという。アニメーション。なんか周囲の人々が激賞…