酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

2016-01-01から1年間の記事一覧

ダイバーシティ

明るく晴れた日曜日、静かな昼下がりの中央線。隣席には雑誌を開く上品な白髪の年配女性。ちらりと覗くと、熟読されているのは、「たんぱく質勉強会のお知らせ」と「タラと長芋の揚げボールレシピ」の書かれた頁である。最近の研究によると、長生きに大切な…

ノーベル賞

今年のノーベル文学賞は、まずはいろんな人が春樹受賞問題についてあーだこーだ言ってていろいろ楽しかった。とりあえず思ったことは、純文学と通俗文学の境界線についてあいまいになってる定義を問い直すときなんじゃないかなあということ。あとノーベル賞…

娼婦

タイミングずれちゃったけど。 こないだの夜、SNSの同世代以上の方々のTLはざわざわと静かな熱い興奮にざわめいた。「NHKBSでスティングが歌ってる。まさか今になってこんなことが。ああロクサーヌ。」 …スティングなんて聴いてなかった。 高校の友人はみん…

旅するパン屋

夕方、ヤレおうちだ、と思ったら、なんか音楽が鳴ってる。 ウチのマンション玄関前に移動パン屋さんがとまっていた。知らなかった、今でもあるんだ。 子供の頃、一時期、岡山のものすごい田舎の山の上に住んでいた。それはもういちいち山を下りないと買いも…

ケイトウ

鮮やかな色彩のあの花の鶏頭、ではない。 ニワトリアタマである。 …知り合いに、言い当てられちゃったんである。「momong ハ ニワトリアタマ。」 ぎょっ、とした。 髪の毛のかたちのことではない。 三歩歩くと、忘れてしまう、脳みそのことである。 …そうな…

話し言葉と書き言葉 その2 三位一体

眠れないので飲みながらつれづれに書き綴る酩酊君です。ええと、書き言葉と話し言葉について。普段から何となく感じていた引っかかりについてである。…人の話す言葉と書く言葉の乖離、同一人物なのに人格としてその言葉が与える印象が違うという現象について…

話し言葉と書き言葉 言文一致と情報革命

60代以上の年配のご婦人は各々独自の仮名遣いにこだわっておられるケースが多い気がする。指摘してもスルーされるということは、なにかこだわりのようなものがあるのだろうか。一応、を「いちよう」と表記し「つ」のローマ字を「tu」と綴る。こないだは「…

矜持と堕落

信念や矜持でばっかり生きてる人ってかっこいいし尊敬するけど、ときにくたびれてしまう。おバカで信念のない自分が蔑まれるのがやだなあと思って構えてしまうからかな、と思う。確信をもって言うけど、オレに信念ってもんはない。で、強いて言えばこの「信…

誕生日

母からメッセージを受け取った。 「早い年月。J病院であなたが生まれた瞬間、はっきり覚えています。退院した日、おばあちゃんが花を一輪さしてくれていて嬉しかったこと、つい先日です。」 「小さいころから苦しいことの方が多い○○(本名)で可哀想でした…

続「異邦人」

真綿で首を絞められるような一日の始まり、一週間の始まり。空転する思考。陰惨な赤い空。 誰か隣にいたらいいのに、泣いてすがる。怖い夢を見ただのさまざまの悪い考えのことなどをいうかもしれない。だがそれらがなんであってもどうでもいい。問答無用でた…

朝の憂鬱。カミュ「異邦人」。

恐れていた朝は恐れていた通りやってくる。 空いっぱい奇妙な砂色の光で満たされる瞬間を見た。これが朝か。 不吉な光の中で、カミュ「異邦人」について考える。 昨夜読み終えた。実は今まで通して読んだことはなかった。(知識としてショッキングな出だしや…

やなさんといっしょ~十五夜編 2016

久しぶりに愛しのカレ柳原陽一郎のライヴに行ってきた。 実は渋谷で毎月やってるんだけど、渋谷は遠いし迷うし何しろ嫌いな街なのでなかなか行けないのだ。今回は我がテリトリイ吉祥寺だったから思い切ってどっこいしょ。 …青山の方は幾度か行ったことあるん…

攻殻機動隊メモ

攻殻機動隊SAC、「笑い男編」から2ndGIG(個別の11人編)まで、ちびちびと観返していたんだが、クライマックス数話分、あまりのおもしろさについついガアと一気に観てしまった。 じいん。 バトーにはやはり痺れた。 「行かせやしねえ、行かせやしねえぞ!…

ひとり、一晩じゅう浅い眠りからうとうとと浮いたり沈んだり。空はもう夜明けの青。からすが鳴き交わして街はがらんどう。寂しい。寂しい。

レッキンボール

つい甘えてしまったとき、しっかりと真摯に受け止めてこたえてくれる古くからの友人というのは人生の宝だ。現在を過去が救ってくれたような心持ちの9月7日である。 感謝というのは胸の中で暖かい温度感をもっている。 じいんときたのは自分でもおぼえてい…

賢治

朝、でかけようとしたとこで、iPhone君がぽよ~んと鳴った。大学時代の友人からメッセージである。 彼が次男君(中一)の宿題の読書感想文に付き合ってたら、賢治の銀河鉄道の夜のことで質問された。わかったら教えてって。 「なんで鴈がお菓子になるのか?…

シン・ゴジラ試論「現実対虚構」に関して。(「春と修羅」を手掛かりに)

●初代ゴジラとシン・ゴジラ 2011.3.11の東日本大震災と原発事故。 あの出来事なくしてはこの作品は成立しえなかった。 初代ゴジラが第二次世界大戦後9年のあの時代に生まれた原理とこのことは重なって見える。 … 昭和29年。核の時代の幕開けだった。実際…

シン・ゴジラ速報

周囲のあまりの評判の高さに負け観てまいりましたシン・ゴジラ。 何なんだよこの「シン」ってタイガージェットシンかよ、とか思ったら、どうやら「新」「真」「神」とかかけてあるらしいという噂。 …評判の高さ納得。 感想はひとことである。おもしろかった…

キリン4

朝方、どろどろとした悪夢の断片を渡り歩いた。 寝た気がしない。頭の芯がしんしんと痛み、足元がおぼつかない。 朝はいつも乾いた絶望とともにやってくる。悪夢はデフォルトだ。いつも同じ、おなじみのシーン…だが、その禍々しさに慣れることは決してない。…

「もののけ姫」あれこれ。

今夜の金曜ロードショーは、もう何度も地上波TVで放送されてきたジブリ「もののけ姫」。好きな人は何度でもみてしまうジブリマジック。 何度も観てると余裕ができてて、SNSであれこれ雑談しながらみんなで観てる感覚があったりして、これが楽しい。最近…

廃墟と希望(日曜美術館「花森安治」・三木卓「惑星の午後に吹く風」)

先日の「不可知の許容」の「とと姉ちゃん」つながりである。 普段みないんだが、日曜美術館。通りがかったら母がみてたんで、つい一緒にみてしまった。花森安治の特集だったのだ。(花森安治は「とと姉ちゃん」の花山伊佐治のモデルになった天才編集者。「暮…

恐怖の大王

恐怖の大王っていう訳のセンス、なんなんでしょうねい。un grand Roi d'effrayeur、アンゴルモワ。「合成怪物の逆しゅう」んとこでも触れたけど、ザ・昭和、というしかないような、あまりにもストレートなようでいて卓越したその言語センスに感服する。こう…

自動トイレ

去年、友人の新居に遊びに行ったらトイレが自動だった。 個室に入ったら便器のふたが自動的に開いたんで私は仰天した。その感動を激しく訴えたら、友人に鼻で笑われたのではあるが。 そりゃなんかどっかの施設の立派なトイレならわかるけどさ、個人宅でそん…

不可知の許容

とと姉ちゃん、どうもおもしろくない。やっぱりオレ朝ドラって昔から基本的にはダメなんだよな、としみじみ。(カーネーションとてるてる家族は別だけど。梅ちゃん先生も好きだけど。) 子供の頃から、といってももちろん学生時代は朝8時台のドラマなんか観…

のうなしとのうたりん

「のうなし」よりも「のーたりん」の方がより劣っているイメージがある。 のーたりん。一生懸命でもどっかでどうしてもネジが一本抜けてる、とか、或いは漫画なヴィジュアルでいうと、目が上下左右に自由自在にふにゃふにゃ乱れてて、何言ってもふにゃふにゃ…

自家製が好き

病院が嫌いである。 医者が嫌いである。 薬が嫌いである。 で、裏返して言うと、一旦踏み込んでしまうと全部結構好きなんである、自分。嗜好として、おそらく。 ハマったらおしまいだな、と思うから忌避してるんである。おそらく。特にクスリ。 何しろ己の身…

病院

急に左耳が痛くなって怖くなったので耳鼻科に行ってきた。 地元の小さな耳鼻咽喉科、なんかモゴモゴしててあんまり言葉の通じないものすごいおじいさん先生で不安が増したんだけど。 まあ大したことないんだろう、ほっときゃなおるようなこと言ってたからそ…

へべれけと七夕

今夜もへべれけおやすみなさいぐう。…と呟いてさあ眠ろうとしたとこで、ハタと思いついた。 へべれけって、どういうこと? ランダムに調べてみたら、なんとギリシャ神話由来という御説があるらしい。へえ~(ほんとかよ)。 「 ヘーベーのお酌という意味のギ…

嫌いはきらい

嫌いってのはどうしようもない。(好きっていうのもどうしようもないけど。) 自分の存在にとって不都合な敵なんである。 ほんと嫌いってツラい。半径5m内に嫌いな人がいるというだけで己の存在が脅かされる恐怖にさらされる。自分が悪い人になってしまうの…

「合成怪物の逆しゅう」レイモンド・F・ジョーンズ

1950年に発表されたアメリカの子供向けSF。 (66年前かよ!)日本で刊行されたのは1967年。 小学生の頃読んだときの強烈な記憶があって、ずっと読み返したいと思ってたのだ。「ゴセシケ」って言葉と脳だけになった科学者がぶよぶよした合成細胞…