酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

土産

近所に住む古い友人が、長野の山奥から戻ってきた。(一泊だが。)
 
隠れ家旅館でうまいものを食い、のんびり山歩きをしてきたから土産を買ってきた、取りに来ないか、というメッセージをくれたのだ。で、夕暮れ前の柔らかなひととき、のそのそとブツをいただきに上がったわけである。ご近所の閑静な住宅街。
 
我々は彼女が近所のお気に入りの自家焙煎珈琲屋の珈琲豆をごろごろと挽いてドリップしてくれている間、漂う珈琲のアロマの中、うまい珈琲と不味い珈琲について語り合い、(店の品評、豆の良し悪しや焙煎具合の好みからタリーズ派であるかドトール派であるかスターバックス派であるかからの人間性の違いについての議論を含む。)ついでに麦酒の好みについて語り合い、更にはコロナ禍とオリンピック、政治や女性問題について、その中での個々の生き方について語り合い、お互いの思想的基盤の意見の些末な相違と根本の一致について確認し、フレイバーとアプローチの好みの違いを快く認め合う心を合わせた。
日頃の愚痴を語り合い、溜まった毒を吹き、笑い飛ばしながら、窓の外の夏の木洩れ日を眺めて二人の静かなひとときを過ごした。
 
ふわりと後口の幸福が余韻に漂う、うまい珈琲であった。
 
土産は秘境の村特産の山胡桃と旬のブルーベリー。
 
山の霊気のこもった濃くパワフルな味わいのありがたい食べ物であった。
 
ありがとうわたくしもまっすぐに生きてゆくから、などと呟きながらいただくごはんである。
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