酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

学生時代

週末が来るとY君は私に聞いた。

「今週はどうする?」

「う~ん。」
しばし考える。

 

…と、彼はひんやりとした寂しい顔をする。
あれ、と思う。

どうして?

「考えるんだね。」

いやだってさ、来週のレポートのこととか友達との約束とかおうちで本読もうかなとかいろいろあるやん。デートもデートだけどさ。どっちが正しい過ごし方か。

「君はいつも計算してる。」
「オレはまず最優先でキミと一緒にいようと思う。すべてはそこから展開できる。だけどキミはどっちがいいか計算するんだ、いつも。」

ものすごく寂しい顔をする。私はこの顔に弱かった。

非常に遺憾に思った。不当な非難であるように思った…だが言われてみるとそのとおりだ。あのひとは聡明な人だった。その指摘は正しかった。

いつだって私は合理的に行動しなければならぬという計算をしながら生きてきた。強迫観念のように、生活のあらゆる局面で。

 

だがおそらく私は間違っていた。間違っている。
少なくともこいびととの関係性においては。

だけどやっぱり仕方がなかったのだ。

と、何十年も経ってから思っている。澄んだ夜空、秋の虫の鳴くオライオン。
おもしろいな、切ないな、いいもんだな、寂しいな、詮無いな、生きてることは。