酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

酔生夢死DAYS

一日じゅうがらんと冷たい海の底にいたのだ。
蒼黒い底なしの虚無の海。

どうして生きてるのかわからないくらい悲しく寂しいと思っていた。そう思いながら、遠い世界の幻のようなげんじつ、この視界に映る幕一枚向こう側の書割の世界の中、にこにこと笑い普通のひとのような顔をしてすべてに対応し話し社会のパーツを演じる自分を眺めながら一日を過ごした。(結局すべての人はこうして日常を支え合いながら生きているのだ。カミュのペストのあの街のように世界から「追放」されない限り。)

 

夕焼けが訪れて陽が落ちたら酒を飲む。部屋の中をまっすぐ歩けないくらいになるまで飲む。

うつらうつらと浅いうたた寝のあと、まだ夜が続き自分の部屋があることに驚き、己の穏やかな気持ちにおどろき、PCのディスプレイの中に思い出の友人たちが現実であるように見えたことに驚き、その穏やかな幸福に似た安堵に驚き、また飲んでは眠る。

今日は母が笑ってくれたので翌日の黎明を目前にしたこの時間にわたくしはやっと灯りを消して眠る。昔のことや、今日確かに街のカフェのクリスマスは私に温かったことを私の内側に確認し思い出して眠る。

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朝が来る前にきちんと眠るのだ。

あんなに寂しくて虚無と絶望の海の上澄みに存在しながらけれどその上に太陽が昇り知己がいて、とりあえず今日食べるものがあって眠って起きる部屋があってわたくしはほんとうに幸せだ。生きているのは奇跡なのだ。幸福なのだ、恩寵なのだ。酒のおかげで生きている気がするのはきっと幻想だろうけどな。おやすみなさいきっとまた復活の明日は来る。

また夜明けにはおきてさまざまを精一杯演じ創造しなければならぬ。できるだけ。それが続く間生きる。深奥に宿酔いを宿して生きる。酔生夢死DAYS.。