酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

旅するパン屋

夕方、ヤレおうちだ、と思ったら、なんか音楽が鳴ってる。

ウチのマンション玄関前に移動パン屋さんがとまっていた。
知らなかった、今でもあるんだ。

 

子供の頃、一時期、岡山のものすごい田舎の山の上に住んでいた。それはもういちいち山を下りないと買いものもできないくらいのレヴェルの田舎であった。家の裏手は岩山、窓から見はるかすのは瀬戸内海。

で、時折調子っぱずれの音楽を鳴らしながらやってくるパン屋やポンポン菓子屋のトラックがとっても楽しみだったんである。そんなこと思い出した。(確かメロンパンがうまいパン屋だった。)(ポンポン菓子屋とは、米と砂糖をもっていくと、ポンポンポンポンと鳴る機械にかけてお菓子に加工してくれる業者である。)(できたてあったかくておいしいのだ。)(あんまりおもしろいので機械に入れて回す作業やらせてもらったことがある。よく考えるとお金払って労働させられたんである。)

コドモにとって、パン屋やポンポン菓子屋のおじさんはまれびとでわたらいびとな旅人で、地方を回るサーカスの人みたいなイメージをまとっていた。あとね、月に一度「学習と科学」やら「小学〇年生」とかを配達しに来てくれる本屋さん。本当に楽しみだった。(もちろん付録がミラクルな「科学」のほうがずっと好きであった。花の汁リトマス試験セットとか指紋検出セットとか。)楽しみは、宝物は、価値は、どこか遠い異国の都会からやってくる、ような感覚だな。

価値の発生や流通というモノやコトの流れの原点は、なんだかそんな物語を孕んでいる。(今の日本ではほとんどなくなってるけど。)

 

…見てたら、女の子がものすごく一生懸命パン選んで、袋抱えて踊りながら帰って行った。(ホントに袋振り回して踊ってたんだよ。パン嬉しかったんだね。)(気持ちはわかる。)

画像に含まれている可能性があるもの:食べ物、1人以上、室内