酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

怖い世界

このひと全然知らなかった。なんか初めてISのことを知ったときと同じくらいな衝撃を受けた。知らない世界を覗き見た心持ちである。

下田美咲。とっても頭がよくてきれいでパワフルでぴかぴかでものすごく魅惑的な若い女性タレント。あんまり衝撃的な見出しについクリックしてみてしまったヤフーのニュースである。

zasshi.news.yahoo.co.jp

しかしきれいな女の子っていうのはほんとうにきれいだ。これだけで商品価値であるという気持ちはとってもよくわかる気がする。商品価値とは誰かが何らかの喜びを感ずるというところに生ずる価値のことである。

そして何がショックだったかというと、このひとの言ってることは私の日頃の考えのまったく逆でありいたましくあじきなく泣きたいほどかなしいと思うのに、絶対に彼女のどの言葉も否定できない、反論できない、論破できないと完敗した心持ちになったことなんである。

つまりこれは、私が賛同してしまっているということなのだ。
矛盾である。全くの正反対の立場にいるはずなのに。相容れない別世界を覗き込んだ、絶対におともだちになれない人種に対するこのふしぎな感覚。(向こうから見たら私は道端の石ころ以下のものであろう。)

…ということで腹立ちとイライラとを動力源としたわくわくにうっとりしている。勝ち組のきれいな若い消費者というのはそれだけで正義なのだ、世界のどんないたましい不幸も悲劇も彼女の考えを否定できない。一流の銀座のホステスや花魁、吉原の最高位の太夫。知性において技芸において究極の美と権力に通じた者が社会的には蔑まれていたという不気味なねじれのことだ。

 

そうだ、このあたりから、彼女の言葉に対抗することのできる言葉を探り出したいと思うのだ。そのためのとっかかりを探している。倫理の始まりのところを考えなくてはならない。どこかで自分自身を否定する覚悟をもって、信じるものを守るために考えなくてはならない。

このかすかなひっかかりのこと。それは彼女個人に対するものではなく、今、己が含まれているこの社会に対するもの。考えたいと思うのだ。