もうクリスマスは私にはやってこないんだな。
どんなにツリーを飾ってみても、クリスマススタンダードやバッハのオラトリオなんか聴いてみても、しがみつくようにして古い映画なんかや観てみても。クリスマス・キャロルや素晴らしき哉人生やくるみ割り人形や…。
螺旋を描くようにして重なりながら繰り返されていたはずの私のクリスマスはもう戻ってこない。うまく思い出せない。
膜一枚向こう側にあってどうしても入り込めない。
今まではそうありながらも、ほんの少しずつだけ、危うく重ねてきたんだけどな。どんどんどんどん失われてゆく。零れ落ちて離れて行ってしまう。
いつからこんなにもひどく失ってしまうようになったんだろう。
この寂しさに、ふと川上弘美「物語が、始まる。」のあの胸の痛む切なさの読み解けない論理を思い出した。物語が始まることと失われることの意味を。
難しいな、少し考えてみようかな、25日まで。