酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

オオイヌノフグリ

近所の空き地、今年初のオオイヌノフグリ発見!
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2017、2.26事件。オオイヌノフグリ記念日だ。

好きなんだな、この花が。咲く季節も、咲く場所も、ものすごく小さいとこも、春の空の色してるとこも、ひどい名前つけられてるとこも、飾りたいなと思って摘もうとするとぽろりともげてしまう儚さも。

 

高校に入学したばかりの四月だった。

生物の最初の授業は、野外学習と称して学校の周りの川沿いの公園をクラス皆で遊びながらお散歩するというものだった。そのままなし崩しに解散、下校、というユルさ。

春うららな陽射しの明るい美しい午後だった。

高校生活は、未来はこれから、という真新しい希望のぴかぴかの春だった。

先生がそのときこの花の名前を、その由来ともどもしみじみとした情趣を持った口調で教えてくれたのだ。「ひどいですよねえ…。」

とっても変な顔をしていたけどとってもいい先生だった。
(夏は教室温度30℃超えたら休講だって約束してくれてたし。生物学的に人間が頭脳システムを作動できる環境ではないって言って。)(あの頃は超えることって結局なかったような気がするけど。)(ミョーなノリの先生だったよな。)(結構面白い先生多かったな。)

この日のこの午後の風景を心象風景として時空のポケットにしまいこみ、一生覚えていることになろうとはあの時私は思いもしなかった。明るい春の中をただ目の前と将来のことでいっぱいで生きていたから。

日曜日、遅い午後の春の光に包まれるとき、この花の咲き始めるとき、繰り返し、繰り返し、そこから取り出して、丁寧に広げて磨き直すことになるなんてね、至福ということに関して考えなくてはならなくなることになるなんてね。