酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

読んだ本

「福岡伸一、西田哲学を読む~生命をめぐる思索の旅」

*プロローグの立ち位置 本書を理解するにあたって、冒頭に置かれたプロローグ、及び第一章導入部の在り方は非常に重要な助けになる。 本編は全編を通して、専門の哲学者の池田氏と哲学に関しては門外漢としての生物学者福岡氏の対談になっているのだが、何…

「ナラトロジー入門」 橋本 陽介

プロップからジュネットまで、という副題につられて読んでみた。 入門書としてきれいに鳥瞰されているのでよかった。大体、専門的な各論を読むよりも寧ろ、すっきりと大まかな概念を理解するにはこういうのがいい。 大学時代、ジュネットとかバルトとかヒジ…

西加奈子「i」

読了。 この人の作品初めて読んだけど、なんかだめかも。いい作品なのかもしれないけど自分にはダメだ、響いてこない。 帯にある中村文則の宣伝文句どおり、この小説は「この世界に絶対に存在しなければならない。」を否定はしない、寧ろ賛同はするけれど。…

「ホテルカクタス」江國香織

「僕の小鳥ちゃん」、「ホテルカクタス」。 江國さん久しぶりに読み返す。 この人の作品は、やっぱりこういう童話風というか、いわゆる大人の絵本という感じの作風のが好きだな。 意味があるようで、ないようで。 …ちょっと気取ってるかな。若い女性向けのお…

「ぼくの死体をよろしくたのむ」川上弘美

さまざまなテイスト、さまざまな趣向を凝らした18篇からなるオムニバス。(川上弘美のこういう面が好き、これはあんまり、とか、同じ川上弘美ファンであっても、どの作品を好むか意見が別れるところかも。)(そしてこのどれもが、いつか作者の中で膨らんで…

桜の季節 安房直子「うぐいす」

毎朝、悪夢から絶望と共に目覚めるタイプである。のっそりと日々を漕ぎ出す。浮上できればめっけもの。 *** *** だけど、今年もまたマンション中庭のソメイヨシノが開花した。少し嬉しくなる。世の中きちんと春がやってくるのだ。 で、隣町の図書館前…

村上春樹「騎士団長殺し」

…先週だったかな。深夜、泥酔状態で(いつもだ。)「騎士団長殺し」読み終えた。で、その夜、寝ながらあれこれ考えていた。 さくっと言ってしまうとあんまりおもしろくなかった。が、いざこう言ってしまうとやっぱりおもしろくないわけではなかった、とも言…

闇太郎

川上弘美はおもしろい。 ダイナミックな作風の変化があって(おそらく意図的な。)実験的なものもあり、作品によって当たりはずれ、というか好き嫌いが別れそうな作家さんだと思う。だけどやはり、そのどれもがどこか私の心を揺さぶるところをもっている。 …

銀河鉄道の夜、あれこれ。

去年、友人の息子さんの読書感想文に関して質問されたことがあった。「銀河鉄道の夜」に関して。 この日の記事ね。 さっきメールの記録で探し物してたら、そのときの答えのメモがあったので、あげておこうかな、と。 *** *** ①雁を食べたらなぜお菓子…

朝の憂鬱。カミュ「異邦人」。

恐れていた朝は恐れていた通りやってくる。 空いっぱい奇妙な砂色の光で満たされる瞬間を見た。これが朝か。 不吉な光の中で、カミュ「異邦人」について考える。 昨夜読み終えた。実は今まで通して読んだことはなかった。(知識としてショッキングな出だしや…

廃墟と希望(日曜美術館「花森安治」・三木卓「惑星の午後に吹く風」)

先日の「不可知の許容」の「とと姉ちゃん」つながりである。 普段みないんだが、日曜美術館。通りがかったら母がみてたんで、つい一緒にみてしまった。花森安治の特集だったのだ。(花森安治は「とと姉ちゃん」の花山伊佐治のモデルになった天才編集者。「暮…

「合成怪物の逆しゅう」レイモンド・F・ジョーンズ

1950年に発表されたアメリカの子供向けSF。 (66年前かよ!)日本で刊行されたのは1967年。 小学生の頃読んだときの強烈な記憶があって、ずっと読み返したいと思ってたのだ。「ゴセシケ」って言葉と脳だけになった科学者がぶよぶよした合成細胞…

「大きな鳥にさらわれないよう」川上弘美

冒頭の章「形見」は序章だ。 クローン技術を駆使した工場で生産される人間や動物たちで構成された不思議な町の風景が描かれる。 この不思議な設定の下で暮らす女性の語り、生活風景を序章として、夢の断片のようなSFじみたさまざまの世界設定の幻想が展開さ…

アースヘイブン物語(そして攻殻機動隊)

アースヘイブン物語。 キャサリン・ロバーツ、この人の作品は全部読んだはずなんだけど覚えがない。もしかして読んだことなかったんだっけ。…と思いつつとりあえずとにかくやっぱり面白い。 異界、魔法世界と現実日常世界の二重世界、そこでの悪役と秩序側の…

「ドミトリーともきんす」高野文子

「ドミトリーともきんす」高野文子 図書館でさあっと眺めた程度なんだけど、くらくらするような、なんとも不思議な読後感。 自然科学と詩の近さと遠さ、その共通と違いのこと、世界の見え方のこと。 カオス、こみいった複雑な曲線のみで構成される具体として…

「ソラシド」吉田篤弘

時代と、街と、音楽、そして言葉。 独特の透明な空気感。 この人の作品世界には、言葉遊びのようなスタイリッシュな文体によって醸し出されるあざとさと、どこか高踏派的な空気感が漂っている。そして、行間ににじむほのかな哀愁、小粋なエスプリの快さ、ノ…

節操がない その2

「物語ること、生きること」上橋菜穂子(構成・文 瀧晴己) 「守り人」シリーズで知られる上橋菜穂子、デビュー作「精霊の木」からずっと追っかけて新刊が出るたびに飛びつくようにしてリアルタイムで読んでいた。 …稀有な物語メーカーである。(本屋大賞な…

「岸辺のヤービ」梨木香歩

梨木果歩さんの童話、となるとこれはもう読まないわけにはいかない、少しの緊張とわくわくを胸にページを開く。 そして、やはりその期待が裏切られることはなかった。 梨木果歩節全開である。非常に注意深く丁寧につくりあげられていて、吟味されたことばが…

安房直子論

序 安房直子。美しく柔らかく、少し怖いような、類稀な作品を多く残した童話作家であり、熱烈なファンは多い。 民話的な要素を色濃くもった彼女の作品群の、骨太で深い独自の魅力は、どのような構造の中に秘められているものなのだろうか。ずっと考えてみた…

「わがままいっぱいの国」アンドレ・モーロワ

子供の頃読んで、タイトルの印象とストーリーが頭のどこかにずうっとひっかかっていた。教育的な寓話的なイメージなんだけど、そのメッセージがよくわからなかったんである。わからないまま心の奥のわからなさの森に、その豊かな魔法の国のイメージはしまわ…

「菜の子ちゃんと龍の子」富安陽子

菜の子先生シリーズの小学生ヴァージョン。座敷童の学校版、学校怪談ならぬ学校神話とでも呼ぶべきジャンルである。和製メアリーポピンズを思わせる、しゃきしゃきピシピシした菜の子先生の「生まれながらの先生」的キャラクター、やたらと学校の規則を大切…

「おーばあちゃんはきらきら」たかどのほうこ

おーばあちゃんっていうのは、小学校一年生のチイちゃんのひいばあちゃんのことだ。おばあちゃんのうちのはなれに住んでいて、ときおりおばあちゃんと一緒にチイちゃんのところに来たり、チイちゃんが遊びに行ったりもする。チイちゃんはおーばあちゃんが大…

「夕凪の街 桜の国」こうの史代

こうの史代は広島出身者なのか、とプロフィールを見て、その生まれ育ち、そのアイデンティティに刻まれる土地の意味のいみじさを思う。方言の確かなネイティヴ感もさすがである。母の田舎が広島で、一時期住んでいたせいもあり広島には縁があるのだが、バリ…

「海うそ」梨木果歩

幾重もの喪失。 さまざまの喪失の物語を重ねる旅なのだ。時空を超えてゆく旅、さながらロードムービーのような旅の道行きの物語構成。これは、読者を今ある現実日常世界から、その宇宙的な道行への深みへと巻き込み、主人公と共に物語世界への旅に誘いこむた…

「なめらかで熱くて甘苦しくて」川上弘美

う〜ん。もともと感性の鋭さが好きなんだけどいささかぶっ飛ばし過ぎてる感のある激しい一冊。さまざまな作風を模索しているその実験的な作品の一環であるようにすら思える。どれもふかぶかとした実力を感じさせてくれる隅から隅まで川上弘美節ブイブイ、な…

「女のいない男たち」村上春樹

「女のいない男たち」というコンセプトアルバムのようなかたちで次の6編が収められている。(前書きでも作者本人が述べているように、それは或いは寧ろ、「女を失う男たち」というイメージである。) ここで失われる「女」とは、「男」にとって何を意味して…

「ちいさなおはなしやさんのおはなし」竹下文子

ちいさなおはなしやさんのおはなし (おはなしだいすき)作者: 竹下文子,こがしわかおり出版社/メーカー: 小峰書店発売日: 2012/12メディア: 単行本この商品を含むブログを見るイヤ実に素敵な本である。 絵がまたとびきり可愛いのだ。おはなしを売って暮らして…

冬虫夏草 梨木果歩

冬虫夏草。読了後、タイトルを鑑みる。 やはりしみじみと意味深い。これは、単に主人公たちの会話に出てくる話題、ひとつの珍奇な生命の在り方を間に合わせの切り貼りタイトルにもってきた、という意味あいなのではない。帯のコピーには本文のこの部分が抜き…

富安陽子「ねこじゃら商店/世界一のプレゼント」

やっぱり富安陽子さんはいいなあ。「ねこじゃら商店/世界一のプレゼント」。偶然その前に読んでいた広嶋玲子「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」も酷似した設定の童話で、ちょっとしたシンクロニシティとなった。双方とも、特別に招ばれない限り、普通の人間では辿り…

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」村上春樹

「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」前作「1Q84」。社会と歴史が異界要素を孕みながら複雑に絡み合い、ダイナミックに広がってゆく動きをもって構成された壮大な世界観の物語の次にやってきたのは、それとは対照的なこの作品だった。ひたすら多崎…

富安陽子さん講演会@国分寺並木図書館

図書館で富安陽子さんの講演会があるというので、行ってきた。ちょっと前の話だけど。6月2日、日曜日の昼下がり。彼女とはデビュー作で出会った。「クヌギ林のザワザワ荘」1990年。クヌギ林のザワザワ荘 (あかね創作文学シリーズ)作者: 富安陽子,安永麻紀…

真珠のドレスとちいさなココ―Slaaf Kindje Slaaf

真珠のドレスとちいさなココ―Slaaf Kindje Slaaf作者: ドルフフェルルーン,Dolf Verroen,中村智子出版社/メーカー: 主婦の友社発売日: 2007/06/01メディア: 単行本 クリック: 5回この商品を含むブログ (3件) を見るこれはひどい。ぞっとする。あまりにも怖い…

ショーン・タンの絵本 異国への郷愁

友人が絶賛、「クラフト・エヴィング商會の吉田篤弘が好きなら絶対気に入ると思う。」と紹介してたので、借りてみたのだ。遠い町から来た話作者: ショーンタン,岸本佐知子出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/10/14メディア: ハードカバー購入: 2人 …

RDG6 レッドデータガール/星降る夜に願うこと

2008年、第1巻が出てから、出るたびに楽しみに読んできた。 先月末、ついに、6巻が出て、完結、読破。(12月現在)足掛け4年。これは、全部一気に、だあっと読みたかったなあ。 全巻揃うのを待ちきれずに出る毎に読み尽くしてしまっていたから、次の巻が出…

ケイト・トンプソン「時間のない国で」三部作読書記録

時間のない国で 上 (創元ブックランド)作者: ケイト・トンプソン,渡辺庸子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/11/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (11件) を見る時間のない国で 下 (創元ブックランド)作者: ケイト・ト…

川上弘美「七夜物語」

七夜物語(上)作者: 川上弘美出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012/05/18メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 18回この商品を含むブログ (32件) を見る七夜物語(下)作者: 川上弘美出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2012/05/18メディア: 単行本購…

坂東眞砂子「朱鳥の陵」

朱鳥の陵作者: 坂東眞砂子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2012/03/26メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る並々ならぬ面白さとおどろおどろしさ。皇女の不吉な夢を解くために宮に呼ばれた能力者白妙が、現実の時空を超越する「…

安房直子「ひめねずみとガラスのストーブ」

ひめねずみとガラスのストーブ作者: 安房直子,降矢なな出版社/メーカー: 小学館発売日: 2011/10/31メディア: 大型本購入: 2人 クリック: 4回この商品を含むブログ (3件) を見る安房直子さんの実発表作品を、新たに読めるとは思わなかった。あんまりもったい…

エナ 火をあやつる少女の物語

グース・ガール―がちょう番の娘の物語 (ベイヤーン国の物語シリーズ)作者: シャノンヘイル,Shannon Hale,石黒美央,せのおゆり,武方恵美,渡邊真弓,中原尚美出版社/メーカー: バベルプレス発売日: 2011/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ…

ガース・ニクス「古王国戦記」三部作

ガース・ニクス「古王国戦記」三部作読了。ボリューム上、三巻に分かれているが、三部作、というよりも、Ⅰ「サブリエル」は独立してとりあえず完結、そして続編としての、Ⅱ「ライラエル」、Ⅲ「アブホーセン」が前後編として二部構成になっている。 Ⅰ サブリ…

吉田修一「横道世之介」

軽く、テンポよく、読みやすい、バブルの時代の青春の群像。 その「うまさ」「悪くなさ」。何の文句も言いようのないけれど私に親和しないタイプの小説だなあ、と、とりあえず読み進む。田舎から上京してきた世之介が、誰もが「あるある!」と、共感、経験す…

怪盗クロネコ団とねじまき鳥クロニクル

岡田貴久子さんの童話が好きである。どれもとてもいいのだが、「怪盗クロネコ団シリーズ」は、日本の近代児童文学史上でも、かなり異彩を放っているものなのではないかと思う。子供を大人目線からの決め付け子ども扱いでばかにしていないし、教訓や理想を押…

梨木香歩「僕は、そして僕たちはどう生きるか」

クラシックな道徳の教科書みたいな少年小説を下地に、意識的にか、少し生硬な思想、テーマがゴリっと硬く浮きでる少年の語りの青さ。しかし、後半、ぐいぐい深みにはまってゆくツボ。村上春樹の問題意識にも通じると思う。「普通」という言葉の暴力性への小…

「おばあちゃんのちょうちょ」バーバラ・M・ヨース&ジゼル・ポター

東北地方太平洋沖地震をはさんで、梨木香歩「ピスタチオ」。 そして、関係ないけど続けて読んだ絵本「おばあちゃんのちょうちょ」。ひどくよかった。絵本の方は、絵描いたジゼル・ポターが好きだったからなんだけど、よかった。重なり合う複雑に凝った世界を…

「宵山万華鏡」森見登美彦

宵山万華鏡作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/07/03メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 33人 クリック: 1,061回この商品を含むブログ (202件) を見る 2011元旦、岩塩ランプの下、森見登美彦「宵山万華鏡」読了。 う〜ん、よかった。…

大江戸妖怪かわら版シリーズ「天空の竜宮城」香月日輪

天空の竜宮城 (大江戸妖怪かわら版 4)作者: 香月日輪出版社/メーカー: 理論社発売日: 2008/08メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (4件) を見る香月日輪、大江戸妖怪かわら版シリーズ「天空の竜宮城」読了江戸を舞台にしている、と思いきや…

川上弘美「パスタマシーンの幽霊」

パスタマシーンの幽霊作者: 川上弘美出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2010/04/22メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 66回この商品を含むブログ (40件) を見るクラシックに味わいのある魅惑の雑誌「クウネル」に連載されていた作品、短編集。 前作…

安房直子「ねずみのつくったあさごはん」

ねずみのつくったあさごはん (1981年)作者: 安房直子,田中槇子出版社/メーカー: 秋書房発売日: 1981/12メディア: ? クリック: 21回この商品を含むブログ (4件) を見るやっぱり、安房直子さんは素晴らしい。ほんの数語で、 すうっと荒んだ心が鎮まり、 魂が浄…

村上春樹「1Q84 BOOK3」 読了

http://d.hatena.ne.jp/momong/200907111Q84 BOOK 3作者: 村上春樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04/16メディア: ハードカバー購入: 70人 クリック: 2,125回この商品を含むブログ (655件) を見る何しろ、BOOK1、2を読んだときの思い、内容を、ほぼ…

獣の奏者Ⅲ、Ⅳ「探求編」「完結編」読了

獣の奏者 (3)探求編作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/08/11メディア: 単行本購入: 14人 クリック: 68回この商品を含むブログ (104件) を見る獣の奏者 (4)完結編作者: 上橋菜穂子出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/08/11メディア: 単…