酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

カミュ「ペスト」

「100分de名著」カミュの「ペスト」録画やっと観た。 「100分〜」はレヴィ=ストロース「野生の思考」テーマのとき初めて観たんだけど、それっきりで随分ご無沙汰してた。今回なんとなくどっこいしょー、と、久しぶりに溜め込んでた録画番組消費にかかったん…

学生時代

週末が来るとY君は私に聞いた。 「今週はどうする?」 「う~ん。」しばし考える。 …と、彼はひんやりとした寂しい顔をする。あれ、と思う。 どうして? 「考えるんだね。」 いやだってさ、来週のレポートのこととか友達との約束とかおうちで本読もうかなと…

文体

文体というのは音楽や香りに似る。 その、文「体」というスタイル全体を覆い支配している見えない気配、いわばその「体」に憑依した魂、そのオリジナルの「法」としての「行間」のようなもの。享受者の感官がそれを感じた瞬間に、五感をすべて巻き込みそこを…

「おやつ」アンソロジー

PARCO出版の本ってのはどうも洒落ている。スタイリッシュ。 で、スタイリッシュでありながら、しっとりとした古めかしさに裏打ちされた風格もある。(それはどこか、思想、芸術、街、文化すべてがファッションになった昭和末期のt東京の匂いがするものである…

夏の朝

月曜の朝であったと思う。 夏の朝の中を歩いて、まばゆい朝陽を浴びた町の物語を感じた。挨拶をしながら行き交う人々、あくびをする人を乗せたバス、工事現場の作業員たち、きらきら光りながら走る車たち。いつかの、健やかな夏の物語。それぞれの、人々の、…

日記メモ(夏の終わり、新しさと懐かしさ)

考えたことはすぐさま言葉にして書き留めておかないと失われてしまうんだよな。賢治のようにいつでもメモ帳を、とずっと思ってた。 考えたことはその日を生きた証だと思ってる。 ツイッターなんかはそれのインデックスとしての使い方って意外といいかもしれ…

ホモイの劫罰~「貝の火」宮沢賢治(「贈与と交換の教育学」矢野智司 後編)

前回からの続き…ということで、「貝の火」である。 前から、ホモイの罪と罰のアンバランスというかむごすぎる劫罰、物語の理不尽がトラウマではあった。何故? ここで罰を受けるべきはあきらかにキツネなのに。 (これはみんな言うよね。誰も解いてない永遠…

「贈与と交換の教育学~漱石、賢治と純粋贈与のレッスン」矢野智司

ということで読みました、とりあえず。 もう序章の時点で「これは…ッ!」と興奮状態。ああ間違いない。というかタイトルみたとたん「賢治と漱石かよ…。」既にもう間違いなかったのだ。この二人を同じ切り口で論じようなんてモノは、間違いなくアレだと思った…

この夏の目標

人生には日々を充実させるための目標がなくてはならない。…という命題に行きあたった。さっき突然。 そういえば、小学校でも日直が毎朝黒板に「今日の目標」みたいなのを書いていた記憶がある。「一日一善」とかそういうの。あれは価値観の共有という、社会…

モンブランスタイル

昨年春、不意に空から降り落ちてきた天啓を受けた。 モンブランである。 落ちてきてしまったものは仕方がない。私はそれからせっせとあちこちのモンブランのことを研究した。その中で当然候補に挙がったのが谷中の「和栗や」である。選りすぐりの栗が自慢、…

目が覚めた。

日曜深夜或いは月曜早朝。数秒、自分が誰で今どこにいるかわからなかった。間違いなく宿酔の頭痛の中にいる。昨夜は飲みたくもないのに飲まされたのだ。(その後飲み直したのはまあ自己責任である。)だがこの眠りの続きのような夜でもない朝でもない奇妙な…

阿佐ヶ谷

よく晴れた日曜日、酷い宿酔いで、顔も洗わず髪もとかさずジーンズにその辺のくしゃくしゃのシャツひっかぶって、のそのそと外に這い出した。なんとなくどうにもならんので。 ばかづら下げて歩いてたら、そういうときに限ってばったり高校の後輩に出くわした…

夏至、文学

妖しい半月が西の空沈んでくよ、夏至の夜。 …でね、麦酒を浴びてヤナちゃん聴きながら思ったんだけどさ。 オレ文学部だったんだけどさ。 学問っていうのはさ。 何なんだろなって。(主として賢治のなめとこ山とホモイと漱石のことをぐるぐる考えてたんだけど…

カレー

土曜日、カレーの集いのお誘いを受けたので、なんだか一生懸命行ってきた。 カレーは素晴らしいからだ。というかまあ大学のゼミの先生を囲んでゼミOB会のような集いだったので先生やゼミの同期や後輩諸氏にお会いできるというのはどきどきするしわくわくする…

「森へ行きましょう」補遺(おまけ蛇足)

留津が小説家となることの意味についてもう少しあれこれ考えてみたんでおまけ蛇足ね。 …前回「森へ行きましょう」レビュで私は本作品における「書くこと」の持つ意味の可能性についてこう書いた。 *** *** 人生は、生きた世界は、そのまるごとが所詮はRPGの…

「森へ行きましょう」川上弘美

最近、長編を出すごとに常にさまざまな新しい冒険、実験をしているように思える、安定したスタイルに安住しない、生きた作家である、ってことなんだろな。 当たりはずれ好き嫌いあるだろう、私は個人的には初期のものが一番好きだし、「大きな鳥にさらわれな…

「なめとこ山の熊」読書会行ってきましたメモ

こないだの五月の週末。 迷っていたんだけど、結局頑張って出かけてまいりました。遥かなる練馬区「なめとこ山の熊」読書会。 久しぶりに快い緊張感のある議論、思いがけないその深まりと広がりの場所。やはり賢治は面白い。たくさんの視点を提供されていく…

日曜日

きれいに晴れたいい日曜日だったので、夜、久しぶりに「日曜夜」と名付けたプレイリストをかける。 ヤレほんとに久しぶりだ。ちょっとほっとした。ワシは繰り返される日常の安心感が好きなので、毎日、毎週、日々が平和に繰り返されることの儀式の感覚が好き…

「4ミリ同盟」高楼方子

こないだの日曜日、五月の昼下がり、陽だまりの図書館で。 このときの私の心にしみ込んでこれを救ってくれたのは川上弘美の「このあたりの人たち」ではなくてこちらの方だった。高楼方子さん、期待を裏切らない。 川上弘美さんの相変わらずの不思議な味わい…

イーストウッド

録画してた「パーフェクト・ワールド」。 うっかり目頭熱くなってしまった。「グラン・トリノ」でもそうだったんだけど、どうしてこうイーストウッドにはたやすく泣かされてしまうのだ自分。こんな人間ではなかったはずなんだが。 理不尽と痛ましさ、どうし…

栗子さん 終章

なんかあれこれあってしばらく離れてたらよくわかんなくなって飽きちゃって書いてて面白くなくなっちゃったんだけど、とりあえずせっかく書いておいたものだしそのときのやりたい放題思いついたままの無茶苦茶メモのままこれでひとまず区切り線、栗子さんモ…

読書会「なめとこ山の熊」

大学院のゼミの後輩君が眩いほどの行動力の持ち主で、自宅をサロンにしてさまざまなイベントを催している。 なんだか私と誕生日一緒とか好きな歌手が一緒とか編み物をたしなむとか(彼女は副業でオーダーメイドドレスのブランドなんか立ち上げてちゃった手作…

姪っ子お誕生日会

さて先日は実家での姪っ子お誕生会。料理大魔王母がここぞとばかりぶんぶんと腕を振るった。 こないだお取り寄せしてからそのおいしさにハマったということで、メニュー構成は小豆島の上等なお取り寄せオリーブオイル三昧イタリアン。 アヴォカドのヴィシソ…

「君たちはどう生きるか」吉野源三郎

高校入学前の春休みの課題図書であった。入学早々これの感想文を提出するのが新入生の入学儀礼。我が母校の毎年の習わしであった。 ので、少なくとも私の周辺の世代の同窓生は全員これを読んでいる(はず)。 ということなので、これの漫画化されたものがい…

栗子さん(命題その3 モンブランは涅槃である)

早春の土曜の朝である。のどやかな晴天。春ぼらけな青空の下、町はゆるゆるとまどろんでいるようであった。 栗子さんは、駅に向かって歩いていた。人生における誇りについて、すなわちその内実として考えられる要素である自身の存在意義というものを滅びと豊…

栗子さん(命題その2 モンブランは愛である。)

さて栗子さんはもちろん栗が大好きだったのだが、何しろとにかく菓子が好きであったのだ。幼少のころからその執着ぶりは顕著であった。子供とは得てしてそのようなものであるが、女児栗子の執着とはその中にあってもひとしなみとは言い難い鋭い際立ちを見せ…

新宿逍遥

<新宿、街は地球の表皮に救うがん細胞のようなパソコン機能構造。その機能とバグ、ゴミ、各アプリケーション、機能同士の相互関係、影響。迷宮、そのクリーンアップ、リセット、汚泥そぎ落とし廃棄処分としての再起動、最終戦争、世界の終わり。あるいはも…

桜・図書館・墓場

私は常々土曜午後の図書館は大変良いものだという信念を抱いているのだが、日曜朝の図書館というのもまた大層良いものである。 「今現在」に繋がれたままの地元の図書館ではだめである。隣町とか、ちょっと離れたよその街の、明るい、窓の大きな図書館がいい…

おやすみなさい

なんだかねえ。 べろべろヨ。 明朝きっと消さねばかも。 でもご機嫌なのオレ今、一人で部屋で泥酔で。起きてれば起きてるだけ飲み続けてしまう。ご機嫌なときはご機嫌だから、辛いときは辛いから。(そして実は弱いので翌日は一日最悪である。) 一月は正月…

断章(旅想・無声慟哭)

冷たい雨が降っている。 蕭々と降る雨に込められた古い静かな都であった。延々と寂しく暗い川べりを歩いていた。 夜か昼かもわからないような薄闇の午後である。暗がりに白い灯りが灯っている。ぽうとやわらかく光りながらそれはたたずんでいた。白鷺になっ…