読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

桜の季節 安房直子「うぐいす」

毎朝、悪夢から絶望と共に目覚めるタイプである。のっそりと日々を漕ぎ出す。浮上できればめっけもの。 *** *** だけど、今年もまたマンション中庭のソメイヨシノが開花した。少し嬉しくなる。世の中きちんと春がやってくるのだ。 で、隣町の図書館前…

村上春樹「騎士団長殺し」

…先週だったかな。深夜、泥酔状態で(いつもだ。)「騎士団長殺し」読み終えた。で、その夜、寝ながらあれこれ考えていた。 さくっと言ってしまうとあんまりおもしろくなかった。が、いざこう言ってしまうとやっぱりおもしろくないわけではなかった、とも言…

阿佐ヶ谷住宅

おうちの中より外のがあったかい。春ぼらけな青空の日曜日。 どうして春の空はぼんやりくすんでるんだろう。(花粉やなんとかガスでないといいんだけど。)などとぼんやり懐かしい街の風景の中をゆく。キセルを聴きながら歩く。 杉並高校から吹奏楽部が練習…

追記・三好達治

これの続きである。 もちろんこの風景に意味を付加していってもよい。風景は、或いはイコンは、ただそのものであると同時にさまざまの意味の表徴であってもよいからだ。ほのぼのと茜さす、百の梅の蕾。そのたおやかな美しさ。立ち昇る幻か、その記憶の風景と…

三好達治

ドアを開けたら息がとまるかと思った。ごうごうと風が吹く春の朝。寂しさとは死に至る病だな、と呟きつつ膨らんだ桜の蕾を見上げて歩く風の中、三月のはじまり。風がやんで、時空のエアポケットに入る一瞬がある。不意に陽射しが温かく感じられてぽかりとひ…

子供みたいに愛しても

なぜ子供っていうのは同じ言葉を幾度も幾度も繰り返すのだろう。絵本なんかでも一度好きになると同じものを数えきれない回数読む。どういう脳の構造なのか。それは、その度新鮮さを味わう力を持っているという能力の論理から来るのか。イヤだからさ、子供の…

オオイヌノフグリ

近所の空き地、今年初のオオイヌノフグリ発見!2017、2.26事件。オオイヌノフグリ記念日だ。 好きなんだな、この花が。咲く季節も、咲く場所も、ものすごく小さいとこも、春の空の色してるとこも、ひどい名前つけられてるとこも、飾りたいなと思って摘もうと…

お脳が弱い その2

つまんなそうな顔した親父が一人で切り盛りしてる、いかがわしい場末の居酒屋のカウンター。 一日の終わりに、こういうとこで麦酒をすすりながらおでんなんかつつくのはいいもんだ。ぼんやりと酒を飲みながら店の奥のTVをながめる爺さんや少しくたびれたサ…

新しい図書館

新しい図書館に行った。都立多摩図書館が立川の不便なとこから、地元西国分寺に移転してきたのだ。一月末にオープンしたばかりのピカピカ。一般貸出はしてないんだけど、東京マガジンバンク、雑誌と絵本に特化したという特徴を持った図書館で、前から一度は…

日曜日、光の春

近所のだだっぴろい畑のはたに、いつも見事に花を咲かせる桃の大木がある。その下には菜の花畑。 今年ももう咲き始めていた。 梅はそこいらじゅうで馥郁と香っている。(しだれたやつと源平のやつが好きだ。この写真のもかわいい源平であった。)(枝垂れた…

笊豆腐

こてこてに固くてこっくりと味の濃い石臼挽き豆乳ざる豆腐。 ふわとろやわやわつるんな茶碗蒸的にお上品な京都な感じの絹ごしより、ずっしりどっしりがっしりなこのざる豆腐である。見よこの美しい布目。 大体世の中なめらかプリンとかとろふわとかゆるふわ…

チョコレート2017

ここしばらく、世の中はチョコレートであった。百花繚乱チョコレート。みんな大好きチョコレート。児童労働チョコレート。(こういうこと考えだすと辛くなるから考えたくないから考えないというのもいけないので考える、と辛いなあとかああめんどくさいやめ…

闇太郎

川上弘美はおもしろい。 ダイナミックな作風の変化があって(おそらく意図的な。)実験的なものもあり、作品によって当たりはずれ、というか好き嫌いが別れそうな作家さんだと思う。だけどやはり、そのどれもがどこか私の心を揺さぶるところをもっている。 …

銀河鉄道の夜、あれこれ。

去年、友人の息子さんの読書感想文に関して質問されたことがあった。「銀河鉄道の夜」に関して。 この日の記事ね。 さっきメールの記録で探し物してたら、そのときの答えのメモがあったので、あげておこうかな、と。 *** *** ①雁を食べたらなぜお菓子…

レヴィ・ストロース「野生の思考」

年末に録りためておいたのだ。Eテレ「100分de名著」。 お題がレヴィ・ストロースの「野生の思考」、解説者中沢新一、とくればこれはもう…いそいそと録画。私は本でも漫画でも映画でも、楽しみなものほどなかなか最初のページを開くことができない、何だか緊…

千と千尋の神隠し

金曜ロードショーつい観てしまった。まあね、やっぱりなんだかんだいって千と千尋、おもしろかったですわ。 楽しげでわくわくするような怪しいファンタジーに満ちた街の風景、夜の世界と昼の世界の鮮やかな反転、水と空と雲と光の美しい描き方。 その光の色…

ドライ・マティーニ

土曜日撮った写真である。 地上43階のバーで夜景とジャズとドライ・マティーニ。 こんなとこに連れてきてもらってアラびっくりでなんだかびっくりで。 楽しかった。(そうなのです。不思議に楽しかったのです。夜のキラキラ。ほんにありがとございます。<私…

ダイバーシティ

明るく晴れた日曜日、静かな昼下がりの中央線。隣席には雑誌を開く上品な白髪の年配女性。ちらりと覗くと、熟読されているのは、「たんぱく質勉強会のお知らせ」と「タラと長芋の揚げボールレシピ」の書かれた頁である。最近の研究によると、長生きに大切な…

ノーベル賞

今年のノーベル文学賞は、まずはいろんな人が春樹受賞問題についてあーだこーだ言ってていろいろ楽しかった。とりあえず思ったことは、純文学と通俗文学の境界線についてあいまいになってる定義を問い直すときなんじゃないかなあということ。あとノーベル賞…

娼婦

タイミングずれちゃったけど。 こないだの夜、SNSの同世代以上の方々のTLはざわざわと静かな熱い興奮にざわめいた。「NHKBSでスティングが歌ってる。まさか今になってこんなことが。ああロクサーヌ。」 …スティングなんて聴いてなかった。 高校の友人はみん…

旅するパン屋

夕方、ヤレおうちだ、と思ったら、なんか音楽が鳴ってる。 ウチのマンション玄関前に移動パン屋さんがとまっていた。知らなかった、今でもあるんだ。 子供の頃、一時期、岡山のものすごい田舎の山の上に住んでいた。それはもういちいち山を下りないと買いも…

ケイトウ

鮮やかな色彩のあの花の鶏頭、ではない。 ニワトリアタマである。 …知り合いに、言い当てられちゃったんである。「momong ハ ニワトリアタマ。」 ぎょっ、とした。 髪の毛のかたちのことではない。 三歩歩くと、忘れてしまう、脳みそのことである。 …そうな…

話し言葉と書き言葉 その2 三位一体

眠れないので飲みながらつれづれに書き綴る酩酊君です。ええと、書き言葉と話し言葉について。普段から何となく感じていた引っかかりについてである。…人の話す言葉と書く言葉の乖離、同一人物なのに人格としてその言葉が与える印象が違うという現象について…

話し言葉と書き言葉 言文一致と情報革命

60代以上の年配のご婦人は各々独自の仮名遣いにこだわっておられるケースが多い気がする。指摘してもスルーされるということは、なにかこだわりのようなものがあるのだろうか。一応、を「いちよう」と表記し「つ」のローマ字を「tu」と綴る。こないだは「…

矜持と堕落

信念や矜持でばっかり生きてる人ってかっこいいし尊敬するけど、ときにくたびれてしまう。おバカで信念のない自分が蔑まれるのがやだなあと思って構えてしまうからかな、と思う。確信をもって言うけど、オレに信念ってもんはない。で、強いて言えばこの「信…

誕生日

母からメッセージを受け取った。 「早い年月。J病院であなたが生まれた瞬間、はっきり覚えています。退院した日、おばあちゃんが花を一輪さしてくれていて嬉しかったこと、つい先日です。」 「小さいころから苦しいことの方が多い○○(本名)で可哀想でした…

続「異邦人」

真綿で首を絞められるような一日の始まり、一週間の始まり。空転する思考。陰惨な赤い空。 誰か隣にいたらいいのに、泣いてすがる。怖い夢を見ただのさまざまの悪い考えのことなどをいうかもしれない。だがそれらがなんであってもどうでもいい。問答無用でた…

朝の憂鬱。カミュ「異邦人」。

恐れていた朝は恐れていた通りやってくる。 空いっぱい奇妙な砂色の光で満たされる瞬間を見た。これが朝か。 不吉な光の中で、カミュ「異邦人」について考える。 昨夜読み終えた。実は今まで通して読んだことはなかった。(知識としてショッキングな出だしや…

やなさんといっしょ~十五夜編 2016

久しぶりに愛しのカレ柳原陽一郎のライヴに行ってきた。 実は渋谷で毎月やってるんだけど、渋谷は遠いし迷うし何しろ嫌いな街なのでなかなか行けないのだ。今回は我がテリトリイ吉祥寺だったから思い切ってどっこいしょ。 …青山の方は幾度か行ったことあるん…

攻殻機動隊メモ

攻殻機動隊SAC、「笑い男編」から2ndGIG(個別の11人編)まで、ちびちびと観返していたんだが、クライマックス数話分、あまりのおもしろさについついガアと一気に観てしまった。 じいん。 バトーにはやはり痺れた。 「行かせやしねえ、行かせやしねえぞ!…

ひとり、一晩じゅう浅い眠りからうとうとと浮いたり沈んだり。空はもう夜明けの青。からすが鳴き交わして街はがらんどう。寂しい。寂しい。

レッキンボール

つい甘えてしまったとき、しっかりと真摯に受け止めてこたえてくれる古くからの友人というのは人生の宝だ。現在を過去が救ってくれたような心持ちの9月7日である。 感謝というのは胸の中で暖かい温度感をもっている。 じいんときたのは自分でもおぼえてい…

賢治

朝、でかけようとしたとこで、iPhone君がぽよ~んと鳴った。大学時代の友人からメッセージである。 彼が次男君(中一)の宿題の読書感想文に付き合ってたら、賢治の銀河鉄道の夜のことで質問された。わかったら教えてって。 「なんで鴈がお菓子になるのか?…

シン・ゴジラ試論「現実対虚構」に関して。(「春と修羅」を手掛かりに)

●初代ゴジラとシン・ゴジラ 2011.3.11の東日本大震災と原発事故。 あの出来事なくしてはこの作品は成立しえなかった。 初代ゴジラが第二次世界大戦後9年のあの時代に生まれた原理とこのことは重なって見える。 … 昭和29年。核の時代の幕開けだった。実際…

シン・ゴジラ速報

周囲のあまりの評判の高さに負け観てまいりましたシン・ゴジラ。 何なんだよこの「シン」ってタイガージェットシンかよ、とか思ったら、どうやら「新」「真」「神」とかかけてあるらしいという噂。 …評判の高さ納得。 感想はひとことである。おもしろかった…

キリン4

朝方、どろどろとした悪夢の断片を渡り歩いた。 寝た気がしない。頭の芯がしんしんと痛み、足元がおぼつかない。 朝はいつも乾いた絶望とともにやってくる。悪夢はデフォルトだ。いつも同じ、おなじみのシーン…だが、その禍々しさに慣れることは決してない。…

「もののけ姫」あれこれ。

今夜の金曜ロードショーは、もう何度も地上波TVで放送されてきたジブリ「もののけ姫」。好きな人は何度でもみてしまうジブリマジック。 何度も観てると余裕ができてて、SNSであれこれ雑談しながらみんなで観てる感覚があったりして、これが楽しい。最近…

廃墟と希望(日曜美術館「花森安治」・三木卓「惑星の午後に吹く風」)

先日の「不可知の許容」の「とと姉ちゃん」つながりである。 普段みないんだが、日曜美術館。通りがかったら母がみてたんで、つい一緒にみてしまった。花森安治の特集だったのだ。(花森安治は「とと姉ちゃん」の花山伊佐治のモデルになった天才編集者。「暮…

恐怖の大王

恐怖の大王っていう訳のセンス、なんなんでしょうねい。un grand Roi d'effrayeur、アンゴルモワ。「合成怪物の逆しゅう」んとこでも触れたけど、ザ・昭和、というしかないような、あまりにもストレートなようでいて卓越したその言語センスに感服する。こう…

自動トイレ

去年、友人の新居に遊びに行ったらトイレが自動だった。 個室に入ったら便器のふたが自動的に開いたんで私は仰天した。その感動を激しく訴えたら、友人に鼻で笑われたのではあるが。 そりゃなんかどっかの施設の立派なトイレならわかるけどさ、個人宅でそん…

不可知の許容

とと姉ちゃん、どうもおもしろくない。やっぱりオレ朝ドラって昔から基本的にはダメなんだよな、としみじみ。(カーネーションとてるてる家族は別だけど。梅ちゃん先生も好きだけど。) 子供の頃から、といってももちろん学生時代は朝8時台のドラマなんか観…

のうなしとのうたりん

「のうなし」よりも「のーたりん」の方がより劣っているイメージがある。 のーたりん。一生懸命でもどっかでどうしてもネジが一本抜けてる、とか、或いは漫画なヴィジュアルでいうと、目が上下左右に自由自在にふにゃふにゃ乱れてて、何言ってもふにゃふにゃ…

自家製が好き

病院が嫌いである。 医者が嫌いである。 薬が嫌いである。 で、裏返して言うと、一旦踏み込んでしまうと全部結構好きなんである、自分。嗜好として、おそらく。 ハマったらおしまいだな、と思うから忌避してるんである。おそらく。特にクスリ。 何しろ己の身…

病院

急に左耳が痛くなって怖くなったので耳鼻科に行ってきた。 地元の小さな耳鼻咽喉科、なんかモゴモゴしててあんまり言葉の通じないものすごいおじいさん先生で不安が増したんだけど。 まあ大したことないんだろう、ほっときゃなおるようなこと言ってたからそ…

へべれけと七夕

今夜もへべれけおやすみなさいぐう。…と呟いてさあ眠ろうとしたとこで、ハタと思いついた。 へべれけって、どういうこと? ランダムに調べてみたら、なんとギリシャ神話由来という御説があるらしい。へえ~(ほんとかよ)。 「 ヘーベーのお酌という意味のギ…

嫌いはきらい

嫌いってのはどうしようもない。(好きっていうのもどうしようもないけど。) 自分の存在にとって不都合な敵なんである。 ほんと嫌いってツラい。半径5m内に嫌いな人がいるというだけで己の存在が脅かされる恐怖にさらされる。自分が悪い人になってしまうの…

「合成怪物の逆しゅう」レイモンド・F・ジョーンズ

1950年に発表されたアメリカの子供向けSF。 (66年前かよ!)日本で刊行されたのは1967年。 小学生の頃読んだときの強烈な記憶があって、ずっと読み返したいと思ってたのだ。「ゴセシケ」って言葉と脳だけになった科学者がぶよぶよした合成細胞…

タチコマの神とインドラの網

攻殻機動隊S.A.C.「機械たちの時間」。 学習型のAIを進化させた戦闘ロボット「タチコマ」たちが小説を読むようになって来たり、個性やゴースト(魂、のようなもの)、神について考え議論するようになってくるシーンがある。 バトーに可愛がられ個体認識され…

「大きな鳥にさらわれないよう」川上弘美

冒頭の章「形見」は序章だ。 クローン技術を駆使した工場で生産される人間や動物たちで構成された不思議な町の風景が描かれる。 この不思議な設定の下で暮らす女性の語り、生活風景を序章として、夢の断片のようなSFじみたさまざまの世界設定の幻想が展開さ…

負け組ロケンロー、それから透谷

人間それぞれツボというのはあるものだ。問答無用に否応なくまずストーンと胸を射抜かれてしまう。理屈はその後だ。 ストーンとハマってしまう。それは、人間にでも風景にでも文章にでも、そして音楽にでも。まずは完敗である。ただ単に、心が一緒に泣いてし…