酔生夢死DAYS

本読んだらおもしろかったとかいろいろ思ったとかそういうの。ウソ話とか。

納骨の日

両親二人分、無事納骨してきたよ。 冷たい風轟々だったけど、抜けるような青空素晴らしくて真っ白な富士山を見晴るかす、そんなお墓だった。 どうしてだろう。この日まで富士山のこと誰も気が付かなかったのだ。 暗い土の中に埋められてゆくあの白い壺の中身…

母喪失後記録 冬の雨、朝のラジオ

今朝は朝から降り続くしとしと冷たい真冬の雨、世界中冷たく薄暗い雨に降り込められて限りなくひとりの部屋の中。 意識の楔を手放したうとうとと寝苦しい浅い眠りの中で、無防備な意識の核子供のままの寂しさと恐怖にとらわれた怖い夢ばかり見ていた。 早朝…

冬の朝

寂しい寂しい寂しい。立ち直れないんじゃないかと思う。 生まれてこなければよかったとは 絶対思わないし思ってないはずなんだけど、寂しさはあんまり厳しい。 生きるのも死ぬのも厳しすぎる。

母を亡くす

母は私の日常現実、平常心そのものだった。 私を日常現実につなぎとめる楔だった。 もう守ってくれる人も守ってあげなくてはならない人も喜ばせたいひともいないのに何をするために生きているかよくわからない。 ママの喜びそうなお菓子買ってきたよ、今日は…

誕生日記録

さて先日誕生日を迎えた。 ということで、誕生日とはなんぞ、と考えた。 このひとつの節目。振り返り己の来歴を鑑み己と周囲の人々との関わりの中での世界のこの存在のことを思い、歓びことほ(言祝・寿)ぐ。 そしてその感謝と幸福のことと、この先のことを…

疲れたなあ

僕は少し疲れたな、サンタマリア。夜、やっと自分のごはんにありついて、酒にありつく。今日は自分のために珈琲を淹れる時間もできなかったけど、この時間になって音楽と麦酒さえあればなんとか今日一日OKさ。自他への恨みつらみ憎悪からも解放される。 何…

「ぐりとぐら」の普遍、そして戦争

雑誌の特集の見出しを眺めていて目に飛び込んできたのは「ぐりとぐら」のあの愛らしい絵本の写真。 ぐりとぐらは時代先取りSDGsで、あるべき理想の暮らしの姿だっていうのが御説趣旨のようであった。 ということで、ううむ、と、私は己の中のいろいろの優し…

さびしい

寂しい寂しい寂しい。 今日は何もかもが私にあんまり酷かった。 全部自分のせいだし、今朝見たの占い最下位だったからだと思う。仕方がないんだと思う。別に報われたいとかそんなんじゃない。努力や頑張りやなんかが報われるなんてのはもちろん幻想だ。諸不…

宮崎駿「君たちはどう生きるか」

映画館で映画を観るってのはやっぱりいいもんだなあ。 チケット発券、境界関門で係のケルベロスさんにもぎってもらって(チェックするだけだけど。)洞窟みたいな薄暗がりの灯りの灯る異界への迷宮廊下に入りこむ。深い暗がりを湛えた地下階へ深く下ってゆく…

夏休みの図書館

朝から猛暑のカンカン照り。なんだかもう何にも考えないでただただ笑いだしてしまいたくなるほどの強烈な光に満ちた圧倒的な暑さってあるものだ。凄まじい輝きのエネルギイに満ちた熱風に吹きさらされて世界は真っ白、自分はカラッポ。そしてカラッポが楽し…

「TENET」「ジョーカー」「おみおくりの作法(still life)」

(ちょっと前置き。***のところまで省略可) …イヤだからね、このことを私は日々何度でも新鮮に感じていて、そして何度でも永遠に言い続けるけど。 「書くことは生きることだ。」そして救済だ。 なんでもいい。忘れたくない。そう思うこと。特に感動した…

ブルーベリー狩り

7月7日。 例年梅雨末期大雨ばかりの七夕には珍しく、朝から猛烈な夏空青空、かんかん照りの猛暑の真夏。 …ということで朝の道路。ぐんぐんと車は走る。高速に乗るとココロは日常から離れてゆく旅の空。 とにかくこの非日常感よ。がらんとした世界の終わり…

法事

入梅前日、嘘のように素晴らしい夏空の一日であった。 ヤーよかった、本日この日は家族の一大イベント、お祖母ちゃんの23回忌の法要だったからね。 しかし何故かいつもここにお墓参りに来るときはとっても暑すぎるかんかん照りの青空なんである。 で、強い陽…

チャットGPT第一印象、街のカフェ郊外のカフェ

何だかわいわい噂になっているChatGPT。なんだろ、とちいと見てみた。 *** *** ふうん。試しに春樹作品の感想を聞いてみたら、おりょりょ。 いきなり「個人的には」なんて言葉を発してきた。AIさん「個人」の自覚設定なのか?…おもしろいな。 でも内容がない…

図書館オバケ

わたしは図書館オバケになりたい。 図書館に寄生し図書館に瀰漫し図書館そのものであり図書館の投影であるモノ。だからそのようなモノとして言っておこう。 「図書館に大切なのは迷宮性である。」 闇や隙間や謎のない図書館なんて文学性のない本のようなもの…

風景の記憶(2月の記憶)

ものすごい氷温北風小僧でバイクぶっ飛ばされそうで凍えそうだったけど、ここの広い高い青空きらきらの風景の中に佇むと心が鎖から解き放たれるよな気がする。 ふわり。この青く高い遥かな青空の繋ぐチャンネルで、幸せだった思い出の中に飛んでゆく。 …特定…

家の持つ記憶

高校時代からの古い友人がご町内に住んでいる。彼女と彼女の伴侶殿が力を合わせて構えた邸宅の向かいには伴侶殿の実家があって、お舅さんとお姑さんが亡くなった後、空き家になっていた。歴史のある古い家屋だ。 で、今回、やむをやまれぬ事情があって、伏し…

昼下がりスターバックス

先日、穏やかに晴れた昼下がり。こんなにゆったりとしたスターバックスは初めてだ。高い天井、大きな窓から燦々と陽射し。空いてたから四人がけ柔らかいソファに陣取ってひとときゆっくり読書の贅沢。 …しかしね、隣の隣の席に陣取った二人デートの女の子た…

梨木果歩「椿宿の辺りに」

仮縫氏「治療というからには、ことを荒立てずにすむものではない」(中略)「もちろん、荒立てずにすませられればそれに越したことはないのです。(中略)だが世代を重ねて深まってきたややこしさを、本気でなんとかしようと思えばーーときほぐすということ…

追悼

半熟卵の白身の絶妙のとろんぷりんとしたとこは旨いよなあと考えるたびに中島らもの提唱した「全まず連」を思い出す。 全国不味いもの愛好連合、だっけな。 そこに、大慌てで旨味の濃い黄身を飲み込んでしまってから、ゆっくりと白身のぷりぷりした無味を楽…

世界の果て トルコとアイルランドの記憶

実家近く。土曜日、青空お日さまぽかぽか晩秋の陽射し、静かな町でシュークリーム工場の裏手を歩くのは幸せ。次々とシューが焼きあがってゆく香ばしい匂いでいっぱい。 静かな町に冬の影は長い。ホフマンや梶井基次郎、ドラえもんのなかの影の物語や影絵遊び…

近所のカフェ スイーツ男子とかコロナとか戦争とか

どんより暗い底冷えの朝の氷雨が上がった。ぱあっと胸の奥を照らすような陽射し。きらきらと眩い雨上がりの午後の陽射し。 嘘のようだ。束の間の魂の自由、このひとときがあればこれからも生きられるかもしれない。こころがすべての現実の牢獄を忘れるひとと…

お姉ちゃん、というのは。(続・星野智幸メモ)

お姉ちゃん、というのは固有名詞だった。 ものごころついたとき、「お姉ちゃん」はお姉ちゃんとして存在し、家族皆から「お姉ちゃん」と呼ばれるものであった。「課長」「部長」と同じ。父・母・長女・次女で構成される四人家族の中の役職が呼び名であったの…

星野智幸メモ

自我を放棄するときのその甘やかな悦楽と陶酔感を。喰われるときの、殺されるときの。 *** *** 今回と次回の投稿は、星野智幸デビュー記念としてのメモである。だんだんこの作品世界にくじけてきたので、イメージが醸成されてきたところで記録を残して…

キリン6 遅咲きガール

純ちゃんの「遅咲きガール」なんか口ずさみながら、あたしはアパートのエレベーターから降りるとご機嫌で玄関のドアを開けた。 キーホルダーにつけたキリン・コクーンがやわらかなみずいろの微光で手元を照らす。 (遅咲きガール遅咲きガール、初めてのデイ…

家出の年

その冬は酷く厳しい寒さになり、その夏は殺人的な猛暑が続いた。 災害が多発した。疫病が流行った。世界中に戦争の火種がちろちろと炎を上げはじめ、難民があふれ、世界中で人々の暮らしは厳しくなった。人心が荒れた。何もかもが関連して現れる。 元首相が…

至福と哀しみ

晴れた夏の午後、晩夏の斜めの光、懐かしい、透き通った光の色。 正しい土曜の夢、再びそこに触れたかった。 現実とされる自我の牢獄の幻想から逃れ、繰り返し戻ることのできる場所、心の中の、魂のその深奥に仕舞い込んだ絶対の故郷へのアクセス法を確立し…

金木犀

28日水曜日、目が覚めると開け放った風の中に一筋の懐かしい香り。 東京の金木犀が一斉に香りだした。 開花解禁日が街の金木犀組合で決められてるんだな、きっと。植物根っこを伝わるラシネーインターネット電子信号か空気中ホルモン放出かなんか未知のネッ…

森見登美彦「有頂天家族」

(※注・大分前に書き始めたものを寝かせながらぼちぼち書いた記事である。) 五山送り火の今宵、ちょうど再読を始めた「有頂天家族」で下鴨一家が五山送り火納涼船を出そうとする章に差し掛かる。セレンディピティ! ということで森見登美彦再読大会絶賛継続…

不幸と孤独は悪である。

人間は不幸になってはいけないのだ。 孤独な不幸は悪である。 なぜならば、全世界への、関わるすべての相手への恐怖と憎悪、感情的に反射的な反感「敵認定」はすべて孤独な不幸に起因するものであり、それは結局は、戦争の根源、不寛容の根源、多様の否定、…